切迫早産②~高熱・救急外来・自宅安静へ~

東京に台風が上陸しようとしていたある日。

体の節々が痛い。

インフルエンザに似たような・・・

でも熱を測ると全然なくて、いつも通り仕事に行く。

 

仕事をしていても、やたらとおなかが張るので、朝から何度も休ませてもらいながら、

キャスター付きいすに座ったまま仕事をする。

しんどい・・・。

あまりに体が重くて、頭も働かなくて、結局早退。(というか帰された・・・)

 

帰ると同時に、ぐったりして眠ってしまった。

目覚めて、さらに重くなった頭と体。

熱を測ると39℃・・・。

 

すぐに産院に電話して状況を伝える。

産科的な症状は張りだけだったので、本院の救急外来にかかるように指示された。

夫の付き添いでタクシーに乗り込み、さっき早退した病院に逆戻り。

 

救急外来の受付で症状を伝え、トリアージされ順番を待つ。

本人はとってもつらいけれど、一刻を争う患者が次々やってくる3次救急対応の救急外来では、熱があるだけの私のような患者の優先度は高くない。

がんばってOS-1飲んで、脱水を予防しながら順番を待つ。

 

1時間・・・呼ばれない・・・。

さすがに身の置き所がなくて、しんどくて、横に慣れる場所はないか訪ねると、

空いている診察室のベッドに寝かせてくれた。

助かった・・・。

 

診察室で横になってからも、さらに1時間半ひたすら待つ。

その間にも、カーテンの向こうは戦場だった。

それがわかるからじっと待つ・・・待つ・・・

その感も、胃のすぐ下までせり上がってくるような張りが頻繁に起こる。

痛い。

 

ようやくやってきたDr.は、「1年目研修医の〇〇です」って自己紹介。

それ、不安になるから言わなくていいよ。(院内職員だからあえて言ったのかな)

 

簡単に問診をして、血液検査。尿検査。インフルエンザの検査。

血液検査の結果、炎症所見がバカ上がりしていたので、

再度針を刺して感染源の検索のために血液培養検査。また針を刺す。

水分は頑張ってとっていても、高熱のため脱水気味で針を刺すのも一苦労。

研修医1年目(つまり医者になって2ヶ月目)で救急に回ってきてしまい、

同じ院内の看護師に、家族の見ている前で何度も針を刺すプレッシャー・・・。

お気の毒です・・・。

 

結局、インフルエンザは否定、妊婦に多い膀胱炎の所見は当てはまらず、

明らかな感染源は見つからなかった。

水分もとれてるし、血液データ的には胎児が危険になるような脱水状態や

飢餓状態にはない。

妊娠中でも飲める解熱剤を飲んで、症状が治まるのを待ちましょうと。

 

うっ・・・このままでは、解熱剤だけで帰されてしまう。

 

口を潤す程度に水分とるのも必死なの。

点滴してほしい・・・。

強いおなかの張りは、頸管長短縮につながり危ないの。

解熱だけでいいの?

産科の先生に内診もしてほしい・・・。

 

差し出がましいかな・・・ってちょっと頭によぎったけど、

不安なまま帰る訳にもいかず、思い切って訴えて、

1リットル分の点滴をしてもらい、産科の当直医に連絡してもらった。

 

産科Dr.に内診してもらい、頸管長は30mmをKEEPできていることを確認し一安心。

張りが強い(炎症があると、張りが強くなる)ので、

モニターをつけて早産につながる張りでないことを確認。

 

NSTと同じモニター。

まだ週数が若いので、心拍の計測はせず張りのモニタリングだけ行う。

つけると、もりもりと波形に山が現れる。

いくつかの山を確認したところで、「張り止め始めましょう」と錠剤を渡される。

これが、噂はかねがね『ウテメリン』。

飲んで30分くらいすると、山が少し低くなって、体感的にも張りのきつさが和らぐのがわかる。

代わりに、胸の上に誰か乗っているような重苦しさと動機が出現。

ウテメリンの副作用として、動機はとってもポピュラーなので、

これも噂はかねがね・・・。

 

やはり産科的には、炎症を早く抑えて張りを納める必要ありとのことで

抗生剤が処方され、ウテメリンの定期内服も開始になった。

 

妊婦が抵抗力が弱いって話は、聞いてはいたけどここまでとは・・・!

翌日には熱は40度を超え、解熱剤を飲んでもなかなか下がらない。

結局体温が38℃を超えなくなるのに一週間近くかかってしまった。

 

熱のせいもあるけど、張りが落ち着くまでは・・・と

とりあえず2週間の自宅安静指示が出た。

 

この日の早退が、22週にして産前最後の出勤になるなんて

このときは思いもしなかったのだけど・・・