切迫早産③~胎児心拍低下・緊急入院~

結局というか、やっぱりというか、遂にというか

入院になってしまいました。

 

お休みをもらい張ったら気兼ねなく休める環境になって

張りの頻度はいくらか和らいでいたので、

デスクワークでなら復帰できるかな・・・と期待して受診。

 

NSTをしている間、やっぱり何度となく張りを繰り返しているのを感じながら過ごしていると、「カーン、カーン、カーン」と緊急アラームが・・・。

バタバタと人が集まってきた。

『え?わたし???』

 

「先生呼んで!」

「横向いてみましょう!」

「おなか痛くないですか?」

「酸素マスクしますね!」

 

モニター用紙を見ると、胎児心拍の波形に大きく谷ができていた。

普通この時期の胎児心拍は150~160回/分をベースにおおよそ120台以上の範囲で上下している。

でも、モニターの波形は60~70回台あたりまで落ち込み、しばらくして緩やかに回復していた。

 

胎児の体が大きくなると、子宮の中が狭くなり、動いたときにへその緒を踏んづけたりして一時的に酸素供給が滞り、心拍が落ちることもあるらしいのだけど、それにはまだ早すぎる月年齢。

 

酸素マスクをしたまま、緊急対応のできる本院へストレッチャー搬送された。

本院でもNSTをとったけれど、張りはあるものの心拍低下はなし。

羊水や、へその緒の様子もエコーでは問題なく、胎児も元気に動いている。

それでも、このまま自宅に帰すのは心配とのことで、入院してモニターを継続することになりました。

 

午前・午後と1日2回のモニタリング

それでも、モニタリングしていない時間に心拍が落ちていたら・・・

そして、回復せずに止まってしまったら・・・

回復したとして、脳に障害が出てしまったらどうしよう・・・

 

とにかく、強い張りが起きないように、張り止めのウテメリンを定期的に飲んで

安静にしましょうと・・・。

 

とてもとても不安で、もうずっとモニターをつけたまま暮らしたい気分・・・

 

 

 

 

 

戌の日の水天宮

妊娠5ヶ月を過ぎた最初の戌の日は、

ありがたいことに久々の五月晴れ。

そして大安。

 

そんなわけで、安産祈願で有名な水天宮は大混雑。

改修中の仮殿でのお参りとなりましたが、

妊婦ひとりにつき、旦那様や上のお子さん、両親、義両親、兄弟まで・・・

と、大所帯での参拝も多く、それはそれは賑やかで長蛇の列なのです。

 

お参りの手順は、

まず入ってすぐのテントで、ご祈祷のみ、ご祈祷+腹帯セットなど、コースを選択使用氏を記入。

次に、記入した用紙を持って受付に並び、初穂料を納める。

(私は、義両親が地元の神社で腹帯などもらってくれていたので、こちらではご祈祷のみで5000円。)

その後、ご祈祷を申し込んだ人は、筆耕さんの前に並び、札に名前を書いてもらう。

(ご祈祷のとき名前を読み上げられるときに使う模様。

 字めちゃうまい!持って帰りたいくらい!)

そこまで済んだら、いよいよご祈祷の順番待ち。

一度に30人ほど呼ばれ、ずらりとならんでお祈りする。

混雑の少ない日は、1名まで同伴可能なんてこともあるようだけど、この日は妊婦のみの入室でした。

 

帰りには御神酒をいただいたけど、妊婦飲めません・・・。

お犬様をかたどった瓶に、竹の笠をかぶせるという、姿も縁起のよい御神酒です。

安産といわれる犬が竹を冠をかぶると・・・『笑う』という字になるのだそうで。

 

あまり信心深い方はない我が家ですが、安産のためともなると

神頼みもしたくなります。

どうか、母子&父も健康に、できればスルッと生まれてきてくれますように!!!

 

おなかの張り

つわりがめでたく終わり、職場に復帰することができ、

これまで休ませてもらった分頑張らなきゃ!と言う気持ちと、

お休み前以上に仕事に喜びを感じるようになり、いつも以上に張り切って働いていました。

看護師という職業上、勤務中は完全に立ち仕事。

体を自分で動かせる患者さんがほとんどいない部署なので、姿勢を変えたり、支えたり、

力仕事も結構あります。

上司、同僚の理解もあり、いろいろと配慮してもらっていましたが、

状況によっては多少の無理も出てくる上に、無駄に張り切りモードなのとで、

おなかの張りは日常的に、「いてて・・・」って感じることも日に何度かありました。

 

ネットでおなかの張りについて調べてみると、

どうやら『生理的な張り』と『危険な張り』があるらしく、

「周期的」でもなく、「出血を伴う」わけでもなく、「休んでも治まらない」わけでもない私の張りは、『生理的』なんだろうと考えて、妊娠してるんだからこんなもんと高をくくっていました。

 

定期検診の時、さりげなく「おなか結構張るようになってきました~」と当たり前の経過を報告するように伝えたところ、「今の時期はまだ張っちゃだめよ!」と言われぽかーん。

そうなの?
ネットでは、張るのは当たり前みたいに書いてあったのに・・・。

 

最近はおなかの上からのエコーになっていたけど、急遽経膣エコーをすることに。

たとえ周期的じゃなくても、強い張りを繰り返すと子宮頸管が短くなり、流産や早産の原因になるらしい。

確かに看護師には切迫流産・早産(切迫ですまないケースも)多い・・・。

そういうことだったんだ・・・。

 

経膣エコーでは頸管長32mmと時期にしてはやや短めと。

今すぐ薬!入院!安静!って程危険ではないけど、今のペースで生活していては

遠からずドクターストップになるだろうと。

 

これをきっかけに「できるところまでやります!」と言っていた夜勤をやめ

日勤だけのシフトに変えてもらい、張ったらすぐに休ませてもらう、

おなかに負荷がかかる仕事はつらくなる前にお願いすることを心に決めました。

 

無理は禁物。

でも無理していないつもりでも、知らず知らずに赤ちゃんを危険にさらしている

可能性があるんだと思い知らされたエピソード。

 

ネットの情報や体験談も、とっても助けられたりするけれど

わかった気にならずに、医師や助産師とのコミュニケーションをしっかりとることが

どれほど大切か改めて実感。

「こんなこと聞いていいのかな?」「神経質な患者だって思われないかな?」なんて思わずに些細なことも、とりあえず口にしてみる。

これ大事。

思っている以上に、医療者は快く対応してくれるはずだし、

どんどん話してくれる患者さん(家族)との方がよい治療(お産は病気じゃないけど)ができるって思ってます。

(医療者目線でそう思います。)

 

切迫早産②~高熱・救急外来・自宅安静へ~

東京に台風が上陸しようとしていたある日。

体の節々が痛い。

インフルエンザに似たような・・・

でも熱を測ると全然なくて、いつも通り仕事に行く。

 

仕事をしていても、やたらとおなかが張るので、朝から何度も休ませてもらいながら、

キャスター付きいすに座ったまま仕事をする。

しんどい・・・。

あまりに体が重くて、頭も働かなくて、結局早退。(というか帰された・・・)

 

帰ると同時に、ぐったりして眠ってしまった。

目覚めて、さらに重くなった頭と体。

熱を測ると39℃・・・。

 

すぐに産院に電話して状況を伝える。

産科的な症状は張りだけだったので、本院の救急外来にかかるように指示された。

夫の付き添いでタクシーに乗り込み、さっき早退した病院に逆戻り。

 

救急外来の受付で症状を伝え、トリアージされ順番を待つ。

本人はとってもつらいけれど、一刻を争う患者が次々やってくる3次救急対応の救急外来では、熱があるだけの私のような患者の優先度は高くない。

がんばってOS-1飲んで、脱水を予防しながら順番を待つ。

 

1時間・・・呼ばれない・・・。

さすがに身の置き所がなくて、しんどくて、横に慣れる場所はないか訪ねると、

空いている診察室のベッドに寝かせてくれた。

助かった・・・。

 

診察室で横になってからも、さらに1時間半ひたすら待つ。

その間にも、カーテンの向こうは戦場だった。

それがわかるからじっと待つ・・・待つ・・・

その感も、胃のすぐ下までせり上がってくるような張りが頻繁に起こる。

痛い。

 

ようやくやってきたDr.は、「1年目研修医の〇〇です」って自己紹介。

それ、不安になるから言わなくていいよ。(院内職員だからあえて言ったのかな)

 

簡単に問診をして、血液検査。尿検査。インフルエンザの検査。

血液検査の結果、炎症所見がバカ上がりしていたので、

再度針を刺して感染源の検索のために血液培養検査。また針を刺す。

水分は頑張ってとっていても、高熱のため脱水気味で針を刺すのも一苦労。

研修医1年目(つまり医者になって2ヶ月目)で救急に回ってきてしまい、

同じ院内の看護師に、家族の見ている前で何度も針を刺すプレッシャー・・・。

お気の毒です・・・。

 

結局、インフルエンザは否定、妊婦に多い膀胱炎の所見は当てはまらず、

明らかな感染源は見つからなかった。

水分もとれてるし、血液データ的には胎児が危険になるような脱水状態や

飢餓状態にはない。

妊娠中でも飲める解熱剤を飲んで、症状が治まるのを待ちましょうと。

 

うっ・・・このままでは、解熱剤だけで帰されてしまう。

 

口を潤す程度に水分とるのも必死なの。

点滴してほしい・・・。

強いおなかの張りは、頸管長短縮につながり危ないの。

解熱だけでいいの?

産科の先生に内診もしてほしい・・・。

 

差し出がましいかな・・・ってちょっと頭によぎったけど、

不安なまま帰る訳にもいかず、思い切って訴えて、

1リットル分の点滴をしてもらい、産科の当直医に連絡してもらった。

 

産科Dr.に内診してもらい、頸管長は30mmをKEEPできていることを確認し一安心。

張りが強い(炎症があると、張りが強くなる)ので、

モニターをつけて早産につながる張りでないことを確認。

 

NSTと同じモニター。

まだ週数が若いので、心拍の計測はせず張りのモニタリングだけ行う。

つけると、もりもりと波形に山が現れる。

いくつかの山を確認したところで、「張り止め始めましょう」と錠剤を渡される。

これが、噂はかねがね『ウテメリン』。

飲んで30分くらいすると、山が少し低くなって、体感的にも張りのきつさが和らぐのがわかる。

代わりに、胸の上に誰か乗っているような重苦しさと動機が出現。

ウテメリンの副作用として、動機はとってもポピュラーなので、

これも噂はかねがね・・・。

 

やはり産科的には、炎症を早く抑えて張りを納める必要ありとのことで

抗生剤が処方され、ウテメリンの定期内服も開始になった。

 

妊婦が抵抗力が弱いって話は、聞いてはいたけどここまでとは・・・!

翌日には熱は40度を超え、解熱剤を飲んでもなかなか下がらない。

結局体温が38℃を超えなくなるのに一週間近くかかってしまった。

 

熱のせいもあるけど、張りが落ち着くまでは・・・と

とりあえず2週間の自宅安静指示が出た。

 

この日の早退が、22週にして産前最後の出勤になるなんて

このときは思いもしなかったのだけど・・・

 

 

 

切迫早産①~頸管長短縮・勤務調整へ~

21週で迎えた医師検診の日。

「変わったことないですか?」に、「結構おなか張るようになってきました~」と

口にしたところ、Dr.とNs.の表情がちょっと曇る。

「今の時期はまだまだおなか張らせちゃだめよ」と。

 

仕事中、おなかが張るのは日常茶飯事。

いててて・・・て思いながら走り回ってた。

ネットでも「張ることもあるが生理的なもの。出血したり、休んでも治まらなかったり、規則的に繰り返さなければ問題ない」って書いてあるのに・・・。

 

内診で子宮頸管長は32mm。

緊急を要するほどの切迫早産ではないけど、こちらも週数からすると

やや心配とのこと。

このまま張りが続けばどんどん短くなってしまうかもしれないって。

 

張りがあったら休むこと。

体調に合わせて仕事のペースを調整すること。

まずはこれで様子を見ることに。

 

これまでは、16時間夜勤も「できるところまでやるぞ!」と思っていたけど、

これからは、8時間ずつにしてもらうことにした。

仕事中も、もっと仲間に頼ろう。

 

そうか・・・張っちゃだめだったのか・・・。

ごめんよ、Baby。

無知と無理を自覚して、心新たにしました。

つわりのおわり

「つわりはある日突然終わりを迎える」というのは、本当に本当でした!

 

ある朝目を覚ますと、むかむかがないのです。

起き上がってみてもこみ上げない。

試しにお水を飲んでも何も起きない。

ご飯が炊けるにおいにも、炊けたご飯をパクパクしても。

 

そして何より違ったのは、気分がこの上なく晴れ晴れしているのです。

「世界がカラーに見える!!!!」

と駆け出したい気分。

 

いつもの自分が帰ってきた!

お帰り自分!
お久しぶり自分!

なんて素晴らしいんだろう!!!!

 

試しにいろいろ食べてみる。

食欲半端ない。

はじめはおそるおそるだったけど、少しずつ難易度(胃への負担)をあげて、

翌日の夕方にはこってりラーメン大盛りを達成し、完全回復を確信。

 

職場に電話して、

「つわりおわりました!きれいさっぱり!

明日から働かせてください!またよろしくお願いします!」

と高らかに宣言し、職場復帰できました。

「全然別人みたいだね」と言われるほど、傍目にもきれいさっぱりすっきりなのでした。

 

それからというもの、食べたいものを思う存分食べられる幸せをむさぼる毎日。

これまであまり好みではなかった焼き魚や煮物なんかの和食も大好きになって、

本当に世界中のすべてがおいしい♪って感じです。

 

ある助産師さんが、「つわりは食生活やライフスタイルをリセットす機会」とおっしゃっていたとおりだなぁ。

 

つわりのはなし~メンタル編~

つわりの本当のつらさは、実は吐き気や倦怠感など体の症状ばかりじゃない。

実は、精神面の不安定さの方が、本人にとっても家族にとってもしんどかったりするのです。

 

引き金は身体的なつらさだったりするのだけど、一時的なものとわかっていても

どうしようもなく絶望的な気持ちになったり、赤ちゃんに影響が出る可能性は低いといわれていても不安でたまらなくなったり、休んだ方がいいのに役立たずだと落ち込んだり、訳もなく涙が出たり、孤独を感じたり、本当に余裕がなくなってしまう。

どんなに頭でわかっていても、ホルモンのせいだと自分に言い聞かせても、この負のメンタルスパイラルは止められないのです。

 

負のスパイラルはその日働けるかどうか判断するところから始まる。

朝食をとって、2~3回吐いて、落ち着くまで待って、「今日一日もつだろうか・・・」と考え、半分以上「無理でしょ・・」と心でつぶやきながらも、結局よろよろ出勤するのです。

こんなんだから、早退してしまうことも多くて、心配もかけたし、ほんとにご迷惑をおかけしまくりました。

通勤途中に電車で、道ばたでぽろぽろ泣いてしまうことまであった。(花粉症の振りしてた・・・)

冷静に考えれば、はじめから休むべき体調だったときも、正しい判断ができない状態だったなぁと今思えば。

 

つわりが落ち着くまで仕事を休ませてもらうことに決まってからは、相変わらず体の不調は続いていたけど、仕事に行かなくちゃというプレッシャーから解放されて、泣くことは少なくなった気がする。

 

社会人をしている限り、仕事を休むことはとんでもなく勇気のいることだけど、それだけストレスフルなことであり、負担に感じているなら思い切ってお休みする方が体にも心にいいってことを身をもって感じたのです。

 

体も心も自分のコントロールが及ばないと言うことは、とんでもなく恐怖。

思春期の頃のどうしようもないいらだちに似ていて、生理前後の憂鬱を100倍にしたみたいな・・・。

 

夫には少し余裕のあるときに、

「もし私がぐちゃぐちゃになってもそれはホルモンのせいである可能性が高くって、私も赤ちゃんも大丈夫だからあまり心配しすぎないで。でも軽くあしらわないで。」

とお願いしておきました。

おかげで、夫はとても上手に私をあやしてくれました。

身近な人に、妊娠経過について理解しておいてもらうことはとっても大切!

自分でも理解不能なめまぐるしい変化に、他の人が自然についてくるなんて絶対に無理なことだから。

 

自分が自分じゃなくなってしまうほどのホルモンの驚異。

芥川作家の川上未映子さんの言葉を借りるなら、まさに「ホルモン地獄」で「ホルモンの奴隷」となった1週間だった。

川上未映子著の「きみは赤ちゃん」(文藝春秋)は、リアルな妊娠・出産・育児体験を綴ったエッセイ。

妊婦さんには共感・予習になり、出産経験者には懐かしく楽しいものだと思うし、未経験の人にとっても未知の妊産婦についてよくわかるおすすめの本です。

きみは赤ちゃん

きみは赤ちゃん

 

 

『つわりはある日嘘のように終わる』っていう、ネット上のたくさんの体験談を心の支えに「明日こそは!」と祈りを込めて眠るのでした。

 

今この瞬間にも、つらくてつらくて、何が何だかわからないほどつらい人がいるかもしれない。

いつ終わるかもわからない。突然元気になるなんて想像できないかもしれない。

でも!
ちゃんと元気になれるから!

ママがもがいてても、赤ちゃんは案外平気な顔ですくすく育ってるから!

そして、本当に嘘ののようにある日突然いつもの自分が帰ってくるから、少しでも心と体をゆるりとしてやり過ごしましょ♪